2011年度のヒッポファミリークラブの高校留学でイタリアへ行ってきた平澤杏佳さんのエッセイを紹介します。
杏佳さんのパネットーネへの愛が感じられますね~。
クリスマスの出逢い
イタリアといえばパスタやピザなど、食でよく知られるけれど、Natale(クリスマス)に食べられるお菓子はあまり知られていない。それはパネットーネといい、私を散々苦しめた張本人である。
大体クリスマスの1ヶ月くらい前になると店先に顔を出す。お菓子というより甘いパンに近い。中にレーズンやドライフルーツが入っているのが基本だけど、メーカーによっては上にアーモンドや砂糖がのっている。なかには変わったパネットーネにも出会った。家の近くの超おいしいパン屋のオリジナルで、1つは砂糖煮した梨とチョコが、もう1つはマロングラッセがレーズンの代わりに入っていて、まあ、これは特別。格別においしい!
ある日マンマが大きな箱をぶらさげて帰ってきて「イタリアのクリスマスはね、これを食べるんだよ」と言いながら、パネットーネを家族みんなに切り分けてくれた。ふわふわしていて味はシンプルでおいしい。
その後、パパとマンマの友だちからクリスマスプレゼントとしてもパネットーネをもらい、家にまだあるというのに、買い物に行くとパパがまた買ってきたりして、気付くと家の中のパネットーネは、すごく増えていた。
そうなると頻繁にヤツと顔を合わすようになる。イタリアの朝ごはんは主にクッキーを食べるのだけどパネットーネがその隣に並んだり、夕飯のデザートにもでてきたり。もちろんおいしいから最初は食べるけど、さすがに1日2回食べた時や、食糧庫に何箱か食べられるのを黙って待っているのを見るとげんなりする。マンマも毎日にならないようたまに切ってくれるのだけどなんせ大きいから一度箱を開けると2,3食は食べないと1つ分は終わらない。
でもヤツらの活躍の場は家だけじゃない。クリスマス休暇最後の学校は、お菓子やジュースを食べながらパーティーをするのだけど、そこでも食べた。マンマとホストと行っていたプールでもクリスマスパーティーがあって、そこにもパンドーロ(クリスマスのパン菓子)と一緒にいた。友だちの家に遊びに行くとおやつにでてきた。
やっとクリスマスもおわり大晦日、友だちの家に泊まらせてもらった時、イタリアでは年越しそばの代わりに何を食べるのかな、とドキドキしながら12時を待っていたらシャンパンを開け始めた。おしゃれ~と思っていたら、そこで予想もしていなかったことが!友だちのお母さんがなんと、パネットーネを持ってきた!家にはまだ3箱くらいあって、でもさすがにパネットーネもシーズンが終わっただろうと、たかをくくっていた矢先だったからショックは大きい。そうか、正月ってこっちだとクリスマスのおまけだから、まだあなた、いるのね・・・。断れないから食べたけど。結局2月が終わっても、パネットーネは2箱くらい家に残っていた。
イタリアで嫌と言う程食べてうんざりしていたけれど、帰国した今、ふとした瞬間にアイツのことを思い出して恋しくなる。そんな私はパネットーネの魔力にかかってしまった一人なのかな?
美味しそう! 作ってみます!
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